どんな時でも、
私たちを癒やしてくれる地域の自然。
その恩返しをするために
TOYOTA SOCIAL FES!!が、今年も開催されます。
楽しみながら自然を守るという想いのもと、
2012年に日本全国47都道府県で始まったこの活動。
11年間で約10.1万人もの方に参加いただきました。
みんなで地域に集まって、自分たちの手で。
さぁ、自然を守るを、一緒に楽しく。
TOYOTA SOCIAL FES!! Presents
河北新報社
仙台市中心部を流れる広瀬川は、全長約45キロメートル、流域面積411平方キロメートルの一級河川。山形県に隣接する関山峠を水源とし、多くの支流に枝分かれしながら、仙台市民の生活を古くから支えてきました。上流部にはイワナやヤマメ、中流域にはアユやウグイのほか、街中では珍しいカジカや、シーラカンスよりも古いとされる生きた化石・スナヤツメなど、実に多様な生態系を保持しています。
10月14日に実施された今回のプロジェクトでは親子連れなど約50名が参加。仙台市青葉区の仙臺緑彩館で宮城教育大学の棟方有宗准教授(魚類学)による講座が開催され、広瀬川の特徴や、魚が通るための道の整備の重要性について解説を受けました。棟方准教授によると、広瀬川ではかつて、サケの産卵を観察することができたといいます。しかし現在はほとんど見ることができません。要因の一つに、都市河川ならではの宿命が挙げられると棟方准教授。「都市河川に欠かせないのが、流水を制御するために設けられる〝堰〟と呼ばれる構造物で、広瀬川には四ツ谷堰、北堰、愛宕堰、郡山堰の4つが設置されています。そしてこれらの設備が、サケを含む多くの魚類の往来を妨げてしまっているのです」。
そこで棟方准教授が全国に先駆けて実施したのが、堰に魚の通り道「魚道」を整備する取り組みです。講座の後、参加者は仙臺緑彩館から15分ほど歩いたところにある国内最初の切欠き魚道がある竜ノ口沢に移動し、広瀬川中流部への注ぎ口に設置された堰堤(えんてい)に魚類が遡上しやすい環境が整えられていることを確認。大雨などでできた、魚の行き来を阻害する川底の落差を解消する作業に取り組みました。仙台市太白区から来た男性は「川底への石積みなどを通し、魚の生息に適した環境や広瀬川の特徴について学ぶことができました」と話していました。
サケやヤマメなどの魚が上流部に遡上できなくなると、川の上流の資源が枯渇し、生態系を崩す要因になってしまいます。良い河川を守るためには水量が保たれることに加え、川全体の新陳代謝を高めるための多孔性と、魚類が行き来できる導線が不可欠であることを学んだ参加者たちは、今回の活動が広瀬川の保全につながることを実感。ゆくゆくは地球全体の環境保全につながる可能性もあり、期待に胸を膨らませていました。
◆主 催:河北新報社
◆協 力:カワラバン